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2008年10月17日金曜日

ビジョンを作る

(出典)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/nba/20081010/173399/?P=1


008年10月17日 金曜日 安部 哲也
MBA  リーダーシップ  ビジネススキル 
【講師】 リーダーシップの「VALue(バリュー)モデル」に位置づけられている3要素の1番目は「ビジョニング(方向性をつくる)」です。リーダーシップの実践で最も重要なことなのですが、取り組んでみると実に難しいものです。

 私自身も企業に勤務していましたし、現在は自分で会社を経営していますが、ビジョンを作り、そしてチームに浸透させるのは、重要度・難易度ともにとても高いです。日々、苦労しながら取り組んでいます。今回は、どうやってチームのビジョンを作っていくのかを学んでいきましょう。

【受講生】 はい。お願いします。

【講師】 まず、ビジョン作りについて理解しやすくするため、以下の3つのステップに分けて考えてみましょう。
ステップ1:「見る」——ビジネスの現状を見る、将来を予測する
ステップ2:「作る」——ビジョンやバリューを作成する
ステップ3:「伝える」——メンバーに伝える、コミュニケーションする
 「見る」「作る」「伝える」の3つのステップを順を追って考えます。それぞれのステップにおいて、「IQ(論理)的アプローチ」と「EQ(感情・感性)的アプローチ」の両面から検討していきます。



ステップ1:「見る」

 「見る」の段階ではまず、市場環境のデータを分析する「IQ的アプローチ」を実施します。戦略編やマーケティング編で勉強した「3C(自社・顧客・競合)分析」「SWOT(強み・弱み・機会・脅威)分析」などを活用します。これらの手法を覚えていますか?

【受講生】 はい、勉強した後に自分の仕事でも試してみました。特に、SWOT分析の「S(Strength:強み)」と「O(Opportunity:機会」に着目して、戦略を作ると効果的だと覚えています。

【講師】 すばらしいですね。この「1-Day MBA」は、勉強のための勉強ではなく、実践のための勉強ですので、ぜひここで学んだことをビジネスで実践するようにしてください。力がぐんとついてきます。

 「IQ的アプローチ」と同時に、「EQ的アプローチ」も大事です。例えば、ビジネスの現場をよく見ることです。トヨタやパナソニックなどの優れた企業では、「現場現物主義」といって、現場に行き、現場を見て実態を把握することを極めて重視しています。現場を見ることから多くのビジネスのヒントを得られるのです。

 顧客の意見を聞くことも重要です。顧客はリーダーが知らなかったり、気づかなかったりする多くのヒントを持っていることが多いです。様々な視点からのアドバイスを求めていきましょう。

ステップ2:「作る」

【講師】 「作る」の段階では、「IQ的アプローチ」として戦略編で学んだPPM(プロダクト・ポートフォーリオ・マネジメント)やマーケティング編の4P(製品・価格・流通・販売促進)などを使って、事業の方向性を構築していきます。

【受講生】 なるほど。MBAの科目は、それぞればらばらのものではなく、関連し合っているのですね。

【講師】 そうです、良い点に気づきましたね。学習しやすくするために、「戦略」、「マーケティング」、「リーダーシップ」と分けいますが、すべてビジネスをより効果的に行うためのものですので、関連しています。

【受講生】 はい。各科目を関連付けながら学んでいきます。

【講師】 ビジョン作りにおいても「見る」のステップと同じように、「IQ的アプローチ」と同時に「EQ的アプローチ」を進めます。面白いこと、楽しいこと、わくわくすることなどもビジョンに盛り込んでいくとよいでしょう。

【受講生】 例えばどのようなことですか?

【講師】 そうですね…。これまで社会になかった全く新しい商品を開発するとか、この分野で日本NO.1を目指す、アジアに進出する、1人でも多くの顧客の感動を作り出す、メンバーが毎日楽しみながら働ける…など、どうでしょうか。

ステップ3:「伝える」

【講師】 そして、最後に「伝える」の段階ですが、これも「IQ的アプローチ」で、データやグラフなどを使ったりしながらメンバーに分かりやすく伝えると同時に、「EQ的アプローチ」として、ビジョンを繰り返し、熱意を込めてメンバーに伝えたり、固い決意を表明したりすることで、チームに浸透していきます。また、一方通行にならずに、メンバーの意見や考え方もよく聞き、必要の応じて取り入れていくこともポイントです。

【受講生】 双方向でコミュニケーションしていくのですね。

【講師】 そうです。例えば、ホテル・リゾートを経営・運営する星野リゾートという会社のビジョンでは、経営管理数字などのIQ的要素と、「リゾート運営の達人となる」というEQ的要素が盛り込まれています。

IQ的要素
【顧客】顧客満足度 2.5以上(すべての顧客が「非常に満足」で3)
【経営】経常利益率 20%以上 
【環境】エコロジカルポイント 24.3以上
(エコロジカルポイントは、環境NPOのグリーン購入ネットワークの「ホテル・旅館エコチャレンジ・チェックリスト」による)

EQ的要素
「リゾート運営の達人になる」
【受講生】 なるほど、明確な数字で表現されているとともに、従業員にやりがいを感じさせるようなビジョンですね。




【講師】 ビジョンは、会社単位でも、部門でも、あるいは小さなチームでも、付加価値を効果的に創造するためになくてはならないものです。そしてもう1つ。ビジョン作りのヒントとしては、リーダーが1人でビジョンを作成してメンバーに実行させるというものではなく、ビジョン作りの段階からなるべく多くのメンバーを巻き込んで参画してもらうようにすると、その後の実行段階で大きく前進します。

 ある大手電気メーカーのマネージャーは、自分で作ったビジョンをメンバーに伝え、やらせるようにしていた時には、いくら努力してもビジョンが浸透できませんでしたが、ビジョン・ミーティング(合宿)を行い、チームのビジョンについて全員で時間をかけ真剣に議論した結果、チームが生まれ変わったと述べていました。ぜひ、今回の内容をヒントに、自分のチームのビジョンを作ってみてください。

【受講生】はい、やってみます。

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