nandemoYA? 検索

カスタム検索

2010年5月25日火曜日

公的債務は深刻

このように、ごちゃごちゃ書かなくても、大体のところは分かっていた・・・

ようするに、

1.バブル崩壊後の急激な財政赤字の増大

2.ホワイトカラーの生産性の低さ

3.少子高齢化(経済的背景がない産めよ、増やせよは自滅行為です)


せっかくだから、ここに掲載しておこう・・・

将来の証拠として、残しておこう。若い人たちのために・・・


http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20100521/214553/



巨額の累積債務と成長の鈍化が深める“深刻度”






財政の持続可能性をみる際には、個人の債務と同じで、元利払いの金額と当面必要となる新規の借入額の大きさを、今後の所得と比べます。
財政の場合は、債務残高と金利から必要となる元利払いの金額を測り、プライマリーバランスの予測で新規借入額を、名目GDPの予測で所得の有無を判断することになります。この際、対名目GDP比でみた公債残高が重要な指標となります。
以下では、対GDP比でみた債務残高が収束するための条件であるドーマー条件と、現在の経済情勢に合わせて修正したドーマー条件について説明します。その上で、既存の債務が雪だるま式に膨らむメカニズムである内生的債務動学を用いて、日本の状況を分析します。
その前に、日本の現状と政府の財政回復に向けたシナリオについてみてみましょう。

麻生政権下の推計

日本の政府の公債残高は、すさまじい水準に及んでいます。まず、数字からみてみましょう。1991年には、対GDP比60%の水準にあった国債の累積債務残高は、バブル崩壊後の景気後退における税収不足と、今次不況局面も含めてバブル崩壊以後の累次の経済対策における財政出動の結果、2009年の段階では、190%を超えていると推計されます。
我が国政府部門にはそれなり資産があるので、ネットで見れば債務残高は深刻ではないという意見もあることから、ネットの債務残高を見ると、それでも100%を超えるような水準に至っています。
そもそも政府の資産は政府が活動していく上で必要なものが多いわけで、民間企業や家計と異なり、ネットで考えるべきではありません(売却できる資産には限りがあります)。現時点で、改めて主要国と比較しても、際立った水準であることが分かります。現在、財政悪化が懸念されている米国の2倍以上。の規模に及んでいます。

ことの深刻さは麻生政権当時の政府も十分認識していました。2009年6月に内閣府より公表された、「中長期の道ゆきを考えるための機械的試算」では、現在の世界経済が順調に回復し、消費税率が2011年度以降毎年1%ずつ、5%の幅で引き上げられるという前提であれば、2010年度のプライマリーバランスの赤字幅は大きいものの、その後大きく改善し、順調に2021年にかけて黒字化を達成するというシナリオを描くことが出来るとしていました。しかし、その場合でも、債務等残高の対名目GDP比は推計期間内(2008~2023年度)は、おおむね横ばいという状態です。
図表1 国と地方の財政状態
  • (対名目GDP比(%)、世界経済順調回復シナリオ)
2008200920102011201520202023
政府部門収支-5.9-10.5-8.1-6.7-3.8-4.5-4.9
基礎的財政収支-3.9-8.1-5.9-4.5-1.2-0.20.5
公的債務残高147.4163.3170.2173.5168.8167.6167.3
(出展:内閣府、中長期の道ゆきを考えるための機械的試算1
1前提
(1)経済:世界経済が混乱を脱し、2010年から2011年にかけて我が国経済及び世界経済が順調に回復。TFP(全要素生産性)は1%程度まで回復。労働参加率は女性、高齢者で上昇。
(2)社会保障: 社会保障の機能強化を『中期プログラム』の工程表を踏まえ一定の仮定に基づき実施。
(3)消費税: 2011年度から2015年度にかけて消費税率5%引上げ。
(4)歳出パターン: ▲14.3兆円歳出削減&非社会保障歳出名目額横ばい。

債務動学とドーマー条件

債務の持続可能性については、名目の債務残高を対名目GDP比で安定させることが出来るかという、債務動学(デット・ダイナミクス)で考えることが出来ます。では、債務が時間の中で変化するプロセスを順に見てみましょう。
今期の債務残高は、前期の債務残高に前期の債務残高への利払い、さらに基礎的財政収赤字を加えたものになります。ここでDを債務残高、PBは基礎的財政収支(ここでは数字の取り扱い上、財政赤字の場合プラスの値を取るとします)、iは名目金利、添字は各変数の時点を示すとします。これを数式にすると、
Dt=Dt-1+i*Dt-1+PBt
ということになります。
また、債務残高の増加幅は、今期の債務残高から前期の債務残高を引いたものであり、これは前期の債務残高の利払いに基礎的財政収支赤字を加えたものに一致します。すなわち、
Dt-Dt-1= i*Dt-1 +PBtです。
従って、基礎的財政収支赤字(PBt)がゼロであれば、債務残高の増加幅は前期の債務残高の利払いに一致します。そして、両辺を一期前の債務残高で割ると、左辺は債務残高の増加率、(Dt-Dt-1)/ Dt-1になり、右辺は名目金利そのものになります。すなわち、債務の償還がなく、かつ、新規の借入がなければ、債務残高の伸び率は名目金利に一致するのです。
一方、債務残高の増加率より、名目GDPの増加率が大きければ、債務残高の対名目GDP比は低下していくことになります。それは、名目金利より、名目GDPの成長率が高ければ、達成されることになるのです。
この条件はドーマー条件という名前で知られています。これについては、2005年に、当時の経済財政諮問会議で与謝野経済財政政策担当大臣と竹中総務大臣が論争したことで、メディアでも取り上げられました。
名目成長率を高めることによっても債務残高を引き下げることが出来るというのが竹中氏の主張の根幹であり、与謝野氏は、名目成長率は名目金利より低い状態にあり、プライマリーバランスにある程度の黒字が必要であるというものでした。
デフレのために、名目成長率が落ち込んでおり、結果的に名目金利が名目成長率より高い状態にあると考えた場合には、竹中氏の主張にも根拠があると考えられます。特に、予期せざるデフレは、実質金利を引き上げるだけでなく、債務残高はそのままで名目GDPを引き下げてしまうので、プライマリーバランスとかかわりなく債務残高の名目GDP比を引き上げ、大きな負担増をもたらします。

フィッシャー効果を考慮した修正ドーマー条件

しかし、金融市場の統合が世界的に進んだ現在、為替の増減が影響する名目金利はともかく、実質金利はかなりの程度、世界経済で決まっており、各国経済の影響は小さいと考えられます。さらに、国内のインフレ率が与えられると、実は名目金利も決まってしまうと考えられています(お金の貸し借りを行う時点における名目金利は、実質金利に期待インフレ率を加えたものに一致するとする式をフィッシャー方程式と呼びます)。
一方の名目成長率も、実質成長率にインフレ率を足したものですから、結局、名目成長率と名目金利を比較することは実質成長率と実質金利を比較することに一致してしまいます。従って、債務残高の対名目GDP比は、プライマリーバランスがゼロであれば、世界経済で決まった実質金利より実質成長率が大きければ収束することになります。しかし同時に、実質成長率が、実質金利を上回らない限り、プライマリーバランスはある程度黒字である必要があるということを意味します。
実質金利が実質成長率より高いことにより、債務残高の対名目GDP比が増加する要因は、これまでの債務残高から生じる増加要因ですので、内生的債務動学要因といわれます。
我が国の政府債務残高の対名目GDP比は、アジア通貨金融危機前の1996年から2009年までの間に90%ポイント以上増大しましたが、実際計算してみるとそのうち約3分の1はこの内生的債務動学要因によるものと考えられることが分かりました。
無論、増大の主因はプライマリーバランス赤字ですが、実質金利と成長率の差がもたらす債務負担増の効果は、既に決して小さくないのです。
もちろん、竹中氏の主張どおり、実質成長率が実質金利を上回るという状況が生じると考えることも出来ます2
2ただ、実質成長率が実質金利を上回る状態は、動学的非効率性と呼ばれます。この状態は、労働者一人当たりの資本ストックが高すぎるという状態を意味します。より詳細には、労働者の生産性も考慮したうえで、一人当たりの資本ストックを考えた場合、その水準が高すぎると、資本の限界生産性(追加的資本が生み出す生産物)が低下し、減価償却などが資本増による追加的生産量を上回ってしまうため、投資するより消費に回したほうが、一人当たりの消費が増加するという状況が生じていることを指します。
戦後、1955年頃から1973年の第1次オイルショックまで、我が国経済は高度経済成長を経験し、しかもその間、実質成長率が実質金利を上回る時期が続きました。すなわち実質成長率が実質金利を上回る状況は、歴史的にも存在しました。
しかし、国内の金利はこの間、ほぼ完全に政府・日銀により管理されていたため、金融市場の不備や公的介入などのため、金利が人為的に抑えられていたからとであると考えたほうがよいと考えます。今後の実質金利と実質成長率の関係をみるためには、金融自由化が進んで以降のデータを用いるべきだと考えます。すると、債務残高を安定化するためだけでも、ある程度のプライマリーバランスの黒字が必要ということになります。

日本の超長期的な経済活動水準と債務の持続可能性

実質金利と成長率の格差がもたらす内生的債務動学要因は、今後深刻になってくることが予想されます。既に残高自体が大きい上に、経済の成長率も低下してくるからです。成長率と債務残高を安定させるプライマリーバランス黒字の規模の関係について、具体的に考えてみましょう。
ここ10年のデータから、今後とも実質金利が2~3%程度存在すると想定しましょう。また、債務残高の対GDP比が、200%とします。実際に計算してみると、実質成長率が1%の場合、内生的債務動学要因は対名目GDP比で2~4%程度のプライマリーバランス黒字がないと、債務残高の対GDP比は安定しないということになります。
さらに、実質成長率が0%となると、実質金利の2倍程度、対GDP比で4~6%程度のプライマリーバランス黒字が常に必要ということになります。そして、経済が縮小する場合には、債務残高の対GDP比が横ばいとなるためだけでも、実質金利の2倍に、さらに経済の縮小率の2倍を加えた規模のプライマリーバランス黒字が必要となる計算結果になります。
将来世代の負担は、手当てが遅れれば遅れるほど重くなります。先ほど仮定の話として経済の縮小の話をしましたが、我が国全体の経済成長率は、実際2030年代の前半頃を境に、マイナスに陥りかねないと考えられます。これは人口推計から分かってしまうことです。
経済成長のエンジンには、技術進歩、労働力増、資本蓄積の3つがあります。このうち、労働力増が、今後は前世紀とは逆に、大きなマイナス要因となってしまうのです。高齢者の労働力率が上がれば人口減を補えるとする議論もありますが、実際には労働力率も低下傾向にあります。これは、労働力率の低い後期高齢者の増大や、農業など、高齢者が取り組みやすい業種の衰退によると考えられます。
今後も、この傾向を反転させること、特に長期にわたり改善することは困難と考えられます。20歳から64歳の年齢の人口は、2030年以降は平均すると年率1.5%の速度で減少していきます(平成18年国立社会保障・人口問題研究所推計)。同程度の速度で労働力人口が低下すると、たとえ年1%程度の技術進歩(労働効率性の改善)が見込めたとしても、減少分を補うことは出来なくなってしまいます。経済成長のもう一つのエンジンの資本蓄積ですが、日本経済のGDPあたりの資本量(資本係数)は既に横ばいになっており、資本蓄積の伸びが今後、経済全体で成長に寄与することは難しいと考えるのが自然です。

財政が破綻すると何が起こるのか

財政の破綻とは、政府による債務の不履行が発生することを意味します。そしてその結果、政府は市中から資金を調達できなくなることも意味します。債務の不履行は、諸外国のケースや、日本の過去のケースと比べると、今回の累積債務の問題とは、相当異なります。今のところ日本国債の保有者がほとんど日本人であり、政府に対外資産が相当存在するからです。従って、名目上、政府自身が債務不履行に陥るリスクは非常に小さいと考えられます。最悪、政府自身が貨幣を発行して支払ってしまえばいいのです。
では、日本の財政は破綻しないのでしょうか? 日本においても、名目的にはともかく、実質的な財政破綻は十分発生しえます。名目上政府はお金を返せますが(日銀券の増発もしくは政府貨幣の発行を通じて)、その場合、激しいインフレが発生してしまい、返したお金の価値は大きく減少することになるからです。従って、いずれにせよ人々は国債、もしくは日銀券、政府貨幣を保有しようとは思わなくなり、結局、市中から資金調達できなくなるという問題は十分発生し得るのです。
実質的に市中から政府が資金を調達できなくなることの影響は甚大です。年金や医療、さらに地方交付税交付金の実質的価値が暴落することになります。公務員の給与も支払えなくなり、治安や教育にも影響は出ることになりますし、結果的には財政を極端に緊縮する羽目に陥ります。
金融市場の混乱は、企業活動にも悪影響を与えるでしょう。リスクプレミアムがつき、実質金利が高止まりする事態になれば、長期的な成長にも重大な影響を及ぼします。また、国債を直接、間接的に保有している多くの家計の資産価値が実質で見て激減することになります。対外面でもジグザグすることになるでしょう。現在ギリシャで発生している事態は、悪影響がどのようなものか、クリアに示してくれています。悪影響は列挙し始めると止まりません。

緩やかな改善と大きなショックの繰り返しを超えて

1980年以降におけるプライマリーバランスの動きを見ると、景気拡張局面では対GDP比で少しずつ改善し(平均すれば年に0.6%程度)、ショックが起きるごとに対GDP比で7%程度落ち込むことの繰り返しとなっています。
1980年代においては、1990年代、2000年代のようなショックがなかった、もしくはショックに対して経済に耐性があったため、結果的にプライマリーバランスの黒字化が成功したともいえます。しかし、今後とも国の内外で大きなショックが発生する確率が1990年代、2000年代と比較して小さくなる保障はどこにもありません。
今後は、プライマリーバランスを対GDP比で毎年1%以上(無論成長率が高い局面ではもっと大胆に)、改善させ、ある程度余裕のある水準(例えば、平均すれば7%程度の落ち込みに対処できるよう、対GDP比で3~4%程度)までプライマリーバランスの黒字化を進めることが不可欠です。事業仕分けの徹底に加え、早期に歳入増加のための措置を導入する必要があります。
ドーマー条件、フィッシャー効果、成長率と債務残高を安定させるプライマリーバランス黒字の規模の関係について、より詳細な解説は『政権交代の経済学』第9章「ドーマー条件――我が国の財政赤字は持続可能か」をお読みください。
参考文献
OECD(2009)エコノミックアウトルック86
内閣府(2009)「中長期の道ゆきを考えるための機械的試算」
Carmen M. Reinhart (2009)”This Time is Different Chartbook: Country Histories on Debt, Default, and Financial Crises”NBER Working Paper series, 15815,
Escolano, Julio(2010) A Practical Guide to Public Debt Dynamics,Fiscal Sustainability, and Cyclical Adjustment of Budgetary Aggregates, Technical Notes and Manuals, IMF.

0 件のコメント: